日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年2月8日自分の中で話の材料を作り出す


「人と話をしている時、話題が途切れると、なかなか言葉が出なくて会話が続かない」

「何か話そうと思うが、話題が思い浮かばず、沈黙が続いてしまう」

こういう経験は誰にもあるのではないでしょうか。

 



私たちの話し方教室では、そういうときのために、日頃から話の材料を集めましょう、ということをお伝えしています。

話のネタはないか、と常に意識していれば、物事を観察する意識が芽生え、ネタになりそうなものが色々と目についてきます。

それらについて考えたことともにストックしていけば、話の材料は自分の中に蓄積されていきます。

これは、自分の外にあるものを観察し、それについて考え、自分の意見をつけて話の材料にするということです。

 

一方で、外にある材料をつかまえる他に、自分の中で話の材料を作り出すこともできます。

これには、大きく分けて2つあります。

一つは、自分の過去の経験を深く掘り下げることです。

例えば、子供の頃に好きだったことを10個あげてください、と言われてすぐに思いつきますか?

1つ、2つはあげられても、すぐに10個あげることはなかなかできないでしょう。

でも、10分くらい集中して考えてみると、10個くらい出てくるものです。

ああ、自分はそういうことにも興味があったなぁ、こういうことも好きだったなぁ、と改めて実感します。

そして、その好きだったことにまつわるエピソードなどを思い出すでしょう。

更に、自分はこういうことに価値を感じていたんだなぁ、それは今も変わらないなぁ、など、自分をもう一度見直すこともできるでしょう。

こうして、思い出したエピソードや考えたことなどが、自分を語る上での話の材料になります。

人は自分の経験や体験を余り掘り下げずにやり過ごしていることが普通です。

それをあえて掘り起こして考えを添えれば、かなりよい材料になります。

 

もう一つは、自問自答することです。

例えば、事業に成功した人をテーマにしたテレビ番組を見ているとします。

そういうときに、軽い気持ちで、自分は成功者なんだろうか、と自問するのです。

そして、こんなことを考えたりしたとします。

・そもそも成功者とは何だろう。成功の定義は何だろう。

・自分なりの定義があってもいいな。

・例えば、自分の人生を振り返って大きな後悔がないなら、それは成功者と言えるのでは。

・だとしたら、自分は、そんなに後悔はしていないので成功者と言えるだろう。

決して正解があるわけではないので、何を考えても自由です。

こうして自ら考えたことが、人が聞いて、それはおかしい、と言われる可能性が低いなら、立派な話の材料になります。

 

人生最後に何か一品だけ食べることができるとしたら何を食べるか、と自問自答しても面白いですね。

それを暫く考えて、トンカツだな、と思い、それを記憶したとしましょう。

ある日、日常会話や飲み会の席でトンカツの話になった時、

「ああ、私、トンカツは好きなんです。」

と言うより、

「ああ、私、トンカツが大好物なんです。死ぬ前に何か一品食べられるんだったら、トンカツを選ぶと思います。それくらい好きです。」

と言えば、話は盛り上がるでしょう。

そして、じゃあ、他の人が死ぬ前に食べたいものは何?というように話題を広げることができるかも知れません。

 

自問自答は、道を歩いていても、お風呂に入っていてもできます。

ふと頭に浮かんだことをつかまえて、少しの時間じっくり考えることを習慣にすれば、かなり広くて深い話の材料ができます。

また、上に書いたように、人生最後の時に食べたいものは何?などの問いかけ自体も、話題を提供したり、広げたりする材料になります。

参考になれば幸いです。
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