日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年2月24日経験を通して感性を磨く

話し方教室ベーシックコースは話し方全般について様々なことをお伝えするコースです。

話す態度、表情、話の組み立て方、声の出し方、話の仕方など、その領域は多岐にわたります。

そして、話にはその人の考え方が如実に表れるので、心の持ち方についても第6回講義の1コマを当ててお伝えしています。



 

話をすることで、人に良い影響を与えられたら、人間関係もよくなり人生を明るく過ごすことができます。

そのために、常にポジティブで積極的な気持ちを持ち、それが言葉に表れるようにしましょう、というのがその趣旨です。

講師によって異なりますが、この講義では次のような例話をお伝えしています。

 

松下幸之助が若くして電球を作る事業をしていた頃のことです。

電球を作る仕上げの段階で、電球を布で磨くだけ、という仕事がありました。

幸之助がある工員の仕事の様子を見ていると、いかにもつまらなさそうに電球を磨いています。

単に電球を磨く、という作業ですので、そうした人もいるでしょう。

しかし、それを見た幸之助は、こう言いました。

「君、ええ仕事しとるな~。

子供らは夜になると暗くなるから勉強したくてもできん。

せやけど、君が磨いた電球があれば、夜も勉強ができる。本が読める。

そうやって勉強した子供らが日本の未来を作ってくれるんや。

君は、日本の未来を作る仕事をしてるんや。

ほんま、ええ仕事してるな~。」

この工員は、それ以来自分の仕事に自信と誇りを持ち、やりがいを感じるようになったそうです。

このような例話を示しながら、人に良い影響を与えられる心を持ちましょう、とお伝えしています。

 

私はこの講義はとても大切だと思っており、40歳代以降の方には比較的共感していただける方が多いようです。

一方で、残念ながら、若い方々にはこうした話はなかなか理解してもらえない傾向があるように感じています。

私自身も30歳の半ばまでは、生き方や心の持ち方に関する話を好んで聞いたり読んだりはしなかったように思います。

年配の方にこうした話を共感してもらえる理由の一つに、人生における経験の量がある、と私は思っています。

今年60歳を迎える私は、生き方や心の持ち方に関する話を聞くと、

「あの頃経験したことと共通した話だな。わかるなぁ。」

「この話、その通りだと思う。だから、あの時にあんな失敗したんだよな。」

などと、自分の経験を振り返って思い当たることが結構あります。

自身の経験と照らし合わせて共感できるから、こうした話も素直に受け取れるのだと思います。

そう考えると、人生における経験は、自身の感性を磨く上でとても貴重なものだと思います。

 

最近は、新しい知識やテクノロジーが次々に出てきて、過去の経験がなかなか活かせない場面が多いです。

そのため、ベテランの経験が役に立たない、むしろ新しいものを取り入れる弊害になっている、という話を見聞きします。

しかし、その経験を通して感性を磨いていけば、様々なことを柔軟に受け止め、理解できる素地が自身にできていくように思います。

そう考えると、人生における経験というのは、とても貴重なものだと思います。

 

そして、更に大事なことは、一つの経験をどれだけ質の高いものにできるか、ということです。

ある経験を、面白かった、悲しかった、ドキドキした、だけで終わらせてしまうのはもったいないことです。

・なぜそれが起こったのか

・自分はその時どう考えたのか、そこに自分のどういう人格が表れているのか

・どうすれば避けられたのか・もっと良いものにできたのか

など、色々と考えることでその経験の質があがっていきます。

これによって、自身に蓄積される経験の量が増えていき、様々なものに共感できることも増えていくでしょう。

物事を素直に受け止めることができれば、人生における知恵も豊かになっていく。

そうすれば、より納得できる人生を送ることができるのではないでしょうか。

 
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