日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年11月27日相手の話の真意をとらえて話を噛み合わせよう!

私は年に数回、ファシリテーション研修の講師を務めています。ファシリテーションとは、会議を効果的かつ効率的なものにするためのスキルです。現在、日本の事務職の生産性向上が喫緊の課題になっていますね。職場の生産性を向上させる上で、会議を効率的・効果的なものにすることはとても重要です。なので私はこの研修に毎回、大きなやりがいを感じています。
ところで、私がファシリテーション研修でお話をしている中で特に大切だと思っていることがあります。それは「発言の真意をつかむ」ということです。

 



次のような例で考えてみましょう。社内研修の企画を考えるミーティングが開催されました。その場で次のような発言がありました。

Aさん:「今度の社内研修は、ホテルに宿泊して2日間、集中的にやりましょうよ」
Bさん:「う~ん、どうかなぁ。私は会社の会議室なんかで1日みっちりやれば十分だと思うけどなぁ」
さて、あなたが会議の司会をしているとしたら、この2人の意見を受けてどのように発言しますか?

「そうだね。たまにはホテルで研修するのも気分が変わっていいよね!」
「研修は中身が大事だから場所にコストをかけるのはどうかな~」
「ホテルはちょっと高いかなぁ。他の場所ってないかな・・・」
こんな発言をしたりするのではないでしょうか。

しかし、ファシリテータ(司会)は、まずAさんの意見を聞いたら、このように考えるべきなのです。
「いつもの職場から離れた所で仕事を忘れてしっかりと学ぶべきだと考えているんだな。どういう問題意識を持っているのかな?」
そして、Bさんの意見を聞いても同じようにこう考えます。
「こちらはそんなに学ぶことはないという認識のようだな・・・ということは、最初の論点は何のために何を学ぶか、だな」
そして、このように発言します。
「意見が分かれたね。どこで何日やるかということを決める前に、まずこの研修で何を学ぶのか、それは何を解決するためか、ということを整理した方がよさそうだけど、どうでしょう」

会議でのとかく「何をするか」という議論に集中しがちです。しかし、その「何をするか」はどういう問題を解決するためか、ということを明確にしないまま議論していることがとても多いのです。そしてその結果、感情的な対立が生まれてしまうことも決して珍しくありません。ファシリテータ(司会)はそうした事態にならないように、発言者の言葉の奥にある考えや気持ちに意識を向ける必要があります。
上の例では、Aさんの意見を聞いてファシリテータは「どうしてホテルなんだろう、なぜ2日間なんだろう?」と疑問を持ちます。Bさんの意見を聞いても「どうして1日でいいんだろう?」と素朴に疑問を持ち、「この研修は何のためにやるんだろう」ということをまず解決すべきだと思い至るのです。

これは相手の言葉の奥にあるものを見定めようと意識しないとたどり着かない思考プロセスです。そしてこの、言葉の奥にあるものを感じ取るということは、話をするあるゆる場面でとても大切なことです。相手の真意をつかむことに心を砕けば、それだけ相手に寄り添うことができてよい人間関係を作ることができるでしょう。

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