日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年4月10日余裕時間を「考える」ことに使ってみましょう 

先日の緊急事態宣言が発令されてから、多くの商店が臨時休業しています。

お店などが開いていないと、目的がなくなって外出しなくなりますね。

また、テレビも収録が難しいため、過去の番組などを総集編と称して流しています。

以前見たものをもう一度見よう、という気にはなかなかならないものです。

このような状況で、時間に少し余裕が出てきている方は少なくないのでは、と思います。

ネットサーフィンやゲームを楽しむ人も多いと思います。

でも、せっかくですので、この機会に少し「考える」ことに時間を割いてみてはどうでしょうか?

「話すことは考えること」です。

話をするにはネタがないと話せませんが、そのネタは、考えることでいくらでもできてきます。

今回はこのことについて述べたいと思います。



少し前に、話し方教室ベーシックコースを受講されている大学生のSさんがセンターに来ました。

作成したスピーチについてアドバイスして欲しいということでしたので、2分間のスピーチを聞きました。

話し方や文章の構成などについてアドバイスをしましたが、その中で、とても気になることがありました。

それは、話の内容が事実の報告中心で、Sさんの気持ちや考えが少ししか聞けなかったことです。

話の概要は次の様なものでした。

・家を出てしばらくしてから財布がないことに気付いた
・家の中を探したが見つからないので、どこかで落としたと考えて交番に届けた
・応対してくれた警官はとても丁寧に聞き取って書類を作成してくれた
・2日経っても出てこなかったが、ふといつも持ち歩いているカバンの奥にあるポケットを探ると財布が出てきた
・見つかってホッとした

 

仮に皆さんがこの話を朝礼でするとしたら、どんな話にしますか?

 

話には「話題」と「主題」があります。

「話題」とは、上に示した概要のようなもので、話の中身その物です。

一方、「主題」とは、この話題から言いたいことを切り取ったものです。

この「主題」は1つの「話題」から幾つも出てきます。

 

Sさんのスピーチを例に幾つか主題を出してみましょう。

例えば、いつも持ち歩いているカバンの中に財布があったということは、財布がないことに気付いたときに、身の回りをきちんと確認しなかったのでしょう。

その点に着目すると、主題は「どんなときも落ち着いて確認しよう」となります。

また、財布をいつも入れているところとは別のところに入れたからこうしたことが起こった、とも言えます。

この点に着目すると、主題は「大切なものは決まったところに保管しよう」となります。

更に、どこかで落としたに違いない、という思い込みが強くて、きちんと身の回りを確認しなかったかも知れません。

そうであれば、主題は「思い込みには注意しよう」となります。

交番の警官が丁寧に話を聞いてくれたことで、それまでの焦る気持ちが和らいだことが印象に残っているのなら、「人の話をていねいに聞くことは大切だ」という主題になるでしょう。

 

このように、1つのエピソード=話題から、自分の気持ちや考え=主題は色々と出てきます。

外出が制限され、時間に余裕がある今、最近の心に残ったエピソードをもとに、色々と主題を考えてみてはどうでしょうか。

これを行えば、日常会話や朝礼などのスピーチで使えるネタがどんどん増えていきます。

また、考えた主題の中で一番自分がしっくりくるものがあれば、それが自分の価値観に近いものなので、自分探しの材料にもなります。

主題は、はじめはなかなか浮かんでこないかも知れませんか、慣れればすぐに思いつくようになります。

ぜひチャレンジしてみてください。
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