日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年6月9日会議ではお互いの発言を「つなぐ」

先週の土曜日にベーシックコースが再開されたのに続いて、昨日はビジネスボイストレーニングコースが再開されました。

このコースは、単に声の出し方をトレーニングするだけではなく、相手に伝わる発声の仕方、話し方も学んでいただきます。

昨日のテーマは「自己紹介」でした。

受講生は、職場での転勤後の朝礼、異業種交流会など、それぞれに場面を設定して自己紹介を行い、その後、講師から講評がありました。

「Aさんは親しみを感じる自己紹介でしたね。それは声のトーンが少し高めだったからです。」

「Eさんはしっかりとした人だな、という印象でした。これは話しのテンポがよくリズム感があったからです。」

 

その後、講師から更に踏み込んだ解説がありました。

「自己紹介には自分を知ってもらうこと以外に、その場の人との人間関係をつくる、という目的があります。
そのためには、前の人が話したことを引用して話すといいですよ。」

例えば、

「先ほどのKさんと同じく、私も出身は岩手県です。」

「Iさんの趣味はギターとのことでしたが、私はピアノが趣味です。」

という具合です。

つまり、人の話と自分の話を「つなぐ」ということですね。



 

上の自己紹介の例のように、話をする上で、話を「つなぐ」ことはとても有効です。

これは日常会話、会議での発言、スピーチなどあらゆる場面で使えます。

 

会議の場を例にとって考えて見ましょう。

会議では、その場で決めたことや共有したことに参加者が共感、納得することがとても重要です。

そのために、話を「つなぐ」ことでお互いを肯定し合ったり、認め合ったりすることは非常に有効です。

「『このイベントは社員の絆作りのために行う。』というBさんの話に、なるほど、と思いました。この目的をしっかりと頭に入れて議論すべきですね。」

「さっきMさんが『これは今必要なことかなぁ』とぼそっと言ったけど、確かに我々は他に優先すべきことがないか、ということを考えていなかったように思います。」

「Pさんの『そんなことをする時間なんかないよ。』と発言は、多くの社員の気持ちを代弁しています。そうした人たちに理解してもらえる説明の仕方を考えねばなりませんね。」

会議の参加者の発言に対して賛成、反対を言うのではなく、その言葉に感じたことや気付いたことなどを話します。

そうすると、先に発言した人と自分の気持ちがつながって、共感性が高まります。

 

当然、発言に対して否定的なことを言っては共感は生まれませんので、そうした発言は控えるべきです。

ちょっと違うな、と思う場合は、共感できる部分をまず言ってから問題提起をする、という形で発言するとよいでしょう。

例えば、「イベントの目的が社員の絆作りというのはいいと思うけど、いきなりは無理だよなぁ。主催者だけが盛り上がって社員はシラケているイベントじゃ意味ないな。」

と思った場合、この気持ちや意見を少し冷静に整理して発言するとよいでしょう。

「イベントの目的は社員の絆作り、というのはすごくいいと思います。しかし、イベントですぐに絆を作るのは難しいので、まずはその雰囲気作りを目的にしてはどうでしょうか。」

こうした「つなぎ」なら、先に発言した人も、自分の発言を受け止めた上で更に掘り下げてくれた、と感じて共感が生まれるでしょう。

 

話を「つなぐ」のは、発言を引用することで、お互いの気持ちを「つなぐ」ことです。

従って、「つなぐ」ためには、お互いの話を共感的に聞くことが必要です。

ぜひ意識してみてください。
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