日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年4月12日物事は分けて考えましょう

緊急事態宣言が発令され、すべての話し方教室を休講とさせていただいています。

その間、受講途中の方には、少しでも学習意欲を持ち続けてもらいたいと思い、定期的にメールで情報提供をしています。

私たちは、話し方教室を受講されている方には、すべての講座を受講いただきたいと思っています。

なので、通常の教室でも、体調不良や業務都合などで休まれた場合は、事務局から補講を受けていただくよう、ご案内メールを差し上げています。

今回の休講で、受講中の方が、残りの回の受講を諦めることがないように、また、教室再開までに間が空いてしまうことで受講効果が薄まってしまうことがないように、できるだけのことをしたいと思っています。

まさに「継続は力なり」です。

受講中の皆さん、休講中も練習を続けてくださいね。



 

さて、緊急事態宣言中は、在宅勤務や外出自粛などにより、人と接して言葉を交わす機会は少なくなっています。

従って、話し方を上達させたい、という意識も、どうしても薄くなってしまうのではないでしょうか。

前回のブログにも書きましたが、こうした時は、継続的に声を出して自分で練習することと共に、「考える力」をつけることを意識するとよいのでは、と思っています。

「話すことは考えること」です。

考えがまとまらなかったり、自分の考えに自信がなかったりすると、どんなに話し方自体上手になっても、相手に伝わる話はできません。

ということで、このブログでも、しばらく「考える」というテーマで書いていきたいと思います。

 

まず、考えるという言葉で思い浮かぶのは、論理的に考える、ということでしょう。

論理的に考えるスタート、それは「物事をわける」ことです。

 

元大阪府知事・大阪市長で弁護士の橋下徹さんの著書「交渉力」を読みました。

橋下さんは、交渉を成立させるには準備が非常に大切で、交渉が始まる前に成功するかどうかの9割は決まっている、と言います。

これは、話し方教室で、充分な準備をしていればスピーチは9割成功する、とお伝えしていることと共通した考え方です。

例えば、橋下さんは大阪の私立高校の学費無償化を打ち出しましたが、府の担当部局は、財政負担に耐えられないとして猛反対しました。

無償化するかしないか、という論点は抽象的すぎて議論になりませんし、感情的な対立が生じます。

そこで橋下さんは、無償化の問題を次のパーツに分けました。

・生徒の家庭の所得が高額である場合対象からはずすか
・無償化のための予算に上限を設けるか
・お金を生徒の家庭に渡すか、学校に渡すか

このように分けた上で、自分が絶対に譲れない条件を決めました。

具体的には、所得制限を設ける、予算枠は設けない、お金は生徒の家庭に半分以上渡す、という条件を決め、その他のことは担当部局に一任しました。

この条件をもとに担当部局が制度を設計し、必要な金額を出してみると、実現可能な金額に収まることがわかりました。

こうして無償化が実現できたそうです。

 

物事を分けずに考えたり議論したりすることは、私たちの日常の中でも頻繁に起こっています。

物事を分けると具体化できます。

そうすると、論点が明確になりますし、イメージもしやすくなります。

その結果、考えやすくなりますし、議論もしやすくなります。

 

この効果は絶大ですので、ぜひ物事を分けて考えることを意識してみてください。
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