日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年5月30日滑舌よく話すポイントとは?

 

★言葉がはっきり聞き取れるように話す


日本話し方センターの受講生には、話している言葉がはっきり聞き取れない人が少なくありません。そういう人がスピーチをすると、まず最初の挨拶が「こんばんは」ではなく「おんばんあ」に聞こえます。また最後の「ありがとうございました」は「えいがとうおざえました」と聞こえます。先日もベーシックコースのスピーチ実習でこのようなことがありました。



★聞いていて混乱したスピーチの例


その教室はベーシックコース全12回の5回目で、人前である程度落ち着いて話せるようになった段階でした。その受講生は次のようなスピーチをしました。

「友達と晩ご飯を食べる約束をしていましたが、仕事がギリギリになりタクシーで予約した店に行くことにしました。タクシーを止めて乗ろうとした時、あわてて出たため会社に財布を忘れた事に気付きました。スマホで料金が払えるかな、と躊躇していると運転手さんに『降りますか?どうしますか?』と言われ、思わず『いや、いいです』と答えてしまいました。結局待ち合わせの時間に20分ほど遅れてしまいました。急いでいる時でも持ち物の確認はしっかりせねば、と思いました」

この話を聞いていて、私は途中で混乱してしまいました。「まだタクシーに乗っていないのに運転者さんから『降りますか?』と言われたのはどうしてだろう?」と疑問に思ったからです。「私が聞き逃しただけでこの人は既にタクシーに乗っていたのかな」など色々考えてしまいました。

スピーチが終わってから講師がアドバイスをします。そのやり取りを聞いていて、やっとわかりました。この受講生はこの部分を「降りますか?」ではなく「乗りますか?」と言ったのです。しかし発音が不明瞭だったので教室の後ろの方の離れた所で聞いていた私には「降りますか?」と聞こえたのでした。

 

★発音が不明瞭になる原因は主に3つ


この受講生のように、きちんと聞き取れない話し方をしてしまう原因は滑舌にあります。日本人は、一般的に滑舌が悪い人が多いといわれています。日本語はハッキリ聞こえなくてもある程度聞き取れる言語ですが、できればストレスなく聞き取れる発声をしたいものです。
滑舌が悪い原因は主に3つあります。

 
◎早口で話している

1つ目は、早口で話すことです。
日本話し方センターを受講する人の約半分は話すスピードが早いです。話しに自信がないと焦って早口になる人が多いのですが、早口は発音が不明瞭になりますし、話の途中でつまずくことも多いので極力避けるべきです。できるだけゆっくりと、そして文と文の間に『間』を取って話すようにしたいものです。しかし、これはすぐにできるものではありませんので、常に意識し、時間をかけて習慣化していく必要があります。

 
◎口がきちんと開いていない

2つ目は、口をきちんと開けていないことです。
「あ」なら口をタテに大きく開く、「い」なら口の端をしっかりと引く。口の形をきちんと作らないまま発音するので、歯切れが悪く曖昧な音になってしまうのです。日本話し方センターでは、口をきちんと開けるように「口の体操」を毎回やっています。これを家でも毎日やっている人は滑舌が格段によくなってきます。当然ながら話は口を動かして行います。その口の動きを俊敏にして大きく開くことができれば滑舌は見違えるほどよくなります。

 
◎子音の発音が弱い

そして3つ目は、子音の発音が弱いことです。
日本語は母音が強いので、普通に発音すると子音がとても弱く聞こえます。先に述べた「乗りますか?」が「降りますか?」と聞こえたのは、子音が弱くて聞き間違えた例です。また、冒頭で述べた「こんばんは」が「おんばんあ」に聞こえるのも子音の発音が弱いからです。英語を話すネイティブの人は子音をとても力強く発音します。あの発声の仕方と同じくらいの気持ちで、子音を意識的に強く発音することでクリアな発音をすることができます。


★話し方はトレーニングで改善できます!


滑舌が悪い人の話を聞いている人は、はっきりと聞こえない部分は推測して埋めながら話を聞いています。だから、すごく疲れます。人に気持ちよく話を聞いてもらうために、滑舌をよくすることはとても大事なのです。特にあがり症の人は口の開きや発音が曖昧な人が多いので要注意です。

ベーシックコースや2日間集中コースでは、相手に理解してもらえる話し方ができるよう、あらゆる面からアドバイスをしています。滑舌を良くすることや大きな声で話すことなど、発声に関するトレーニングもその一つです。また、話す態度や話の内容についても具体的にご指導しています。ぜひ受講をご検討ください!
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