日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2019年10月5日清々しい会話


私が毎朝、出勤時に乗る電車はほぼ時間が決まっています。

そのいつも乗る電車には途中の駅から車椅子の女性が乗ってきます。まだそんなに混んでいない時間帯ですので、車椅子も余裕で乗れます。

電車とホームと間には段差がありますので、途中の駅から乗るときも、秋葉原駅で降りるときも、駅員さんが板を敷いてサポートしています。

私はその様子を何とはなしに見ていて、ふと、10年ほど前の光景を思い出しました。


私当時、名古屋に単身赴任していて、地下鉄桜通線の今池駅から国際センター駅まで、通勤で利用していました。

ある日の会社からの帰り、途中の駅で車椅子の男性が乗ってきました。

そして、私が降りる今池駅の一つ手前、車道駅でその男性が降りました。

車道駅でも、駅員さんが電車とホームとの間に板を敷いて、乗り降りをサポートしていました。

私は、その男性が降りるとき、

駅員さん:「はい、どうぞ。」

男の人 :「済みません。」

という会話が交わされるのかな、と勝手に予想しました。

しかし、実際の会話は

駅員さん:「お帰りなさい!」

男の人 :「ただいま!」

というものでした。(二人とも元気のいい挨拶だったので、!をつけました。)


私は、その会話を聞いて、言いようのない清々しさを感じたことを今でも覚えています。

恥ずかしながら、私は、その男性と駅員さんの関係を、助けられる人・助ける人、というふうにとらえていました。

しかし、その会話を聞いて、それは間違いだ、と言うことに気付かされたのです。

彼らは、その地域に一緒に住んでいて、違う役割を担っている人なのだ。

たまたま私が見た場面では、確かに駅員さんはその男性を助けていましたが、彼がしている仕事は別のところで確実にこの駅員さんの役に立っているはずだ。

そう思ったのです。

そして、その清々しい場面を見て、私の気持ちはとても温かくなったのです。


電車の中で目にする光景や、耳に飛び込んでくる会話などが、ネガティブなものだったり、関心しないものだったりすると、こちらの気持ちも暗くなります。

逆に、接する場面やことばがポジティブなものだったり、感動するようなものだったりしたら、見聞きする人の気持ちは確実に温かなものになるでしょう。


何気ない日常の会話の中にも、色々と感じることができるものはあるものですね。
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