日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2019年11月4日キーワードを意識する

伝わりやすい話にするポイントとして、少し前に、「主題から話す」で、話の方向性を先に話すとよい、ということを書きました。

また、最近では、「話が長い訳」で、前置きを短くすると話が短くなる、ということを書きました。

今回は、伝わりやすい話にするポイントとして、キーワードを意識する、ということをご紹介します。

 

キーワードというと、「絆」や「生産性向上」「責任と権限」というように、一つか二つくらいの単語を並べたものを思い浮かべる方が多いでしょう。

しかし、私がここでいうキーワードとは、主語と述語がある、20文字程度の短い文章です。

「既存先の営業に力を入れるべきだ」

「ネガティブな発言はやめよう」

「誰に相談すればいいか教えて欲しい」

こうしたものを、ここではキーワードと呼びます。

 

なぜ、このキーワードが大切かというと、人は話し手が言いたいことを端的な文章にして理解し、記憶しようとするからです。

例えば、日常会話でもビジネス会話でも、人の話を聞いている時に、

「ああ、つまり、今度の同窓会で私に幹事をして欲しい、ということね。」

「あなたが言いたいのは、今のやり方では成果は出ない、ということかな。」

というように、話し手の言いたいことはまとめる発言をすることがあります。

これは、人が話を短い文章で理解し、記憶しようとすることのわかりやすい例です。

人間は長い文章は、理解しにくいし覚えられません。

だから、話を理解し、どういうことを言ったのか、ということを記憶するには、端的な文章が必要なのです。

「あの人、何を話したかったのか、結局わからなかった。」

という経験は誰にでもあると思います。

その多くの原因は、話の中でキーワードがつかめなかった、ということにあるのです。

 

しかしながら、話を聞いている人に、「つまり、~」と要約してもらうのは、不誠実なことかも知れません。

聞き手に、その分、余計な負担をかけているからです。

長い文章を記憶しながら論旨をつかむのは、かなりの能力を使う作業です。

それを聞き手に強いるような話は、わかりにくい、と評価されても仕方ありません。

であれば、話し手が、自分の話の中に、言いたいことを端的にまとめたキーワードを、わかりやすい形で入れておけば、聞き手の負担は減ります。

その結果、わかりやすい話だな、と思ってもらえる可能性が高まります。

 

では、端的なキーワードを入れれば、それでいいのか、というと、もちろん、そんなことはありません。

言いたいことの理由や背景、共感を得るために必要な事情など、話を納得してもらうためには、やはりきちんと話をして納得してもらわねばなりません。

人は、話を聞いているときは、頭の中にイメージを描きながら聞いています。

そのイメージが描けてはじめて話が理解できます。なので、具体的にイメージが描けるように話すことはとても重要です。

話をきちんと納得してもらった上で、その話を理解し、記憶してもらうときにキーワードが登場します。

 

ところで、私の経験上、話をする前に頭の中で、キーワードをまとめておくと、話がわかりやすくなるように思います。

言いたいことをキーワードにまとめると、話し手自身も言いたいことしっかりとつかめるので、余計な話をすることが少なくなるからです。

特にあがり症の方は話しているうちに頭が混乱してくることが多いようですので、このキーワードをしっかりまとめてから話すと、あがり症も少し抑えて話すことでできるでしょう。

 

ぜひ話をされる際には、キーワードを意識してみてください。
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