日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年1月21日話の「間」を意識する

 

★ドラマで得た気付き


先日、あるドラマを見ていて、こんなシーンがありました。主人公が主治医と話をしている場面です。

主人公「病気になる人が多いと医者は儲かるのに、なぜ医者は塩分の取り過ぎに注意しろなどと言うんですか?」
主治医「医者の言うことを聞かずに病気になる人が一杯いるんですよ」
主人公「持ちつ持たれつという訳ですか?」
主治医「違います!」

この主治医は、最後の「違います!」というセリフを、主人公の「持ちつ持たれつという訳ですか?」というセリフにかぶせるように、間髪入れずに早口で言ったのです。私はこの話し方が面白かったし、会話にキレの良さを感じました。もしこのセリフを主治医が、少し間をあけてからのんびりした感じで言ったとしたら、強く否定する気持ちが見ている人に伝わらず、印象的なシーンにもならなかったことでしょう。


★『間』を活かした雑談の例


このように、話をする上で『間』をコントロールすることはとても重要です。このドラマの例は『間』を取らずに緊張感を出す例でしたが、私たちが日常話す中では、わざと黙って『間』を取ることの方が多いです。日常会話でもスピーチにおいても、『間』を意識的に使うことで話の印象はガラッと変わります。
例えば、雑談の中で、
「私、雨男でね~。去年の冬、長崎に旅行に行った時も、雨よ降るな、と祈ったんです。そしたら見事に雨は降らなかったんですよ!」
と言ってからしばらく間を取って、
「雪だったんです」
と言えば、その意外性が強調されて会話はグッと面白いものになります。これを「そしたら雪だったんです~」と間を取らずに話したのでは、聞き手が意外性を味わう時間がないので、面白さも半減してしまうでしょう。

 

★『間』を活かしたスピーチの例


朝礼などのスピーチでも『間』を活かすと、格段に聴いてもらえる話になります。例を示しましょう。
「皆さんは最近人に感謝されたことはありますか?」
と言ってしばらく黙る時間を設けると、聞き手は「そういえば、あったかなぁ・・・」と考えます。そして、2~3秒してから
「実は私は先日、とてもうれしい感謝のことばをいただきました」
と続けると、聞き手は「へぇ~、どんなことがあったんだろう」と、より興味を持って話しを聞いてくれるでしょう。

話を聞く人は、このスピーチが始まるまで、仕事など別のことを考えたりしていて、『感謝』については全く考えていません。そういう状態の人にいきなり『感謝』に関するスピーチをしても、その気になって聞いてくれるとは限りません。しかし、スピーチの冒頭に「皆さんは最近人に感謝されたことはありますか?」と質問して少し間を取ると、『感謝』について考えてもらえます。「そう言えば最近感謝された記憶がないなぁ」「ああ、昨日取引先から対応が早いって感謝されたな」などと考えることで、聞き手が『感謝』に関するスピーチを聞くモードになってくれるのです。このように、質問をして『間』を取ることには、聞き手の聴く姿勢を作る効果があるのです。


★話す際に『間』を意識しましょう


話に『間』を取ると、その沈黙の時間のあいだに、聞き手は話について考えたり、直前の話を自分の中で反芻したりすることができます。そうした時間を取った後、次の話をすることで、話し手と聞き手は双方向の会話をしている感覚になります。そうするとしめたものです。話を一層興味を持って聞いてもらえます。

しかし、多くの人は『間』を取ることで生まれる沈黙の時間が怖くて、なかなか『間』を取ろうとしません。そういう方でも、ぜひ少し勇気を出して話に『間』を取ってみてください。聞き手の印象が必ず変わるはずです。

 

★話し方の基本を身につけましょう!


今回は話の『間』について解説しました。日本話し方センターのベーシックコースでは、『間』の取り方も含めた、効果的な話の仕方、相手に伝わる話の組み立て方、相手に話を聞いてもらえる立ち居振る舞いなど、コミュニケーション全般について幅広くご指導しています。ここでの学びや気づきは、日常のあらゆる場面で活用できるものです。その効果は多くの受講生が実感されています。ぜひ受講者の声をご確認ください。その上で、ご受講をご検討ください!
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