日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2020年5月14日「人が足りない」は問題ではなく原因です

よく「うちの職場は人が足りないことが問題だ」という話を聞きますね。

しかし、人が足りていないことは、実は問題ではありません。

今回はこのテーマでお話します。



先日、オンラインで会議をしていて気になることがありました。

その会議は、ある事業部門の組織を変更する際に、現在の総務課を解散して各課にその機能を分散するか、というテーマでした。

「そんなことできるわけがないだろう」
「いや、総務課のメンバーは今のままだとやりにくいと言っている」
「私は一度総務課はバラバラにするのもいいと思っている」

など、色々な意見が出ましたが、結局、結論はでませんでした。

この会議の何が問題だったのでしょうか?

 

会議などで検討する場合、考えるフレームワークがあります。

それは、「問題点 - 原因 - 打ち手」です。

この会議では、総務課をどうするかという「打ち手」の話ばかりしていて、「問題点」や「原因」の話をしていませんでした。

そのため、結論が出せなかったのです。

以下、このフレーワークについて、「職場全体の残業が多い」という問題を例にして説明します。

 

まず残業が多いということの問題点を突き止めます。

問題点とは、客観的なデータ等で把握できる具体的な問題の所在をいいます。

残業が多いということには、次のような問題点が考えられます。

・特定の人に残業が集中している
・人員に対して仕事量が多すぎる
・時間当たりに処理する業務量が少ない

 

この職場の問題点が、「特定の人に残業が集中している」ことだとします。

次に考えるのは、原因=なぜその問題点が発生しているのか、です。

なぜ特定の人に残業が集中しているのか、を考えると、次のようなものがでてくるでしょう。

・特定の人にしかできない仕事が多い
・仕事量の多い課と少ない課の差が激しい
・特定の人が丁寧に仕事をしすぎる

この中から、調査や議論をして関係者が、これだ、と思える原因を特定します。

さて、調査や議論の結果、原因が「特定の人にしかできない仕事が多い」だとします。

最後に、その原因をつぶす打ち手を考えます。

例えば、次のような打ち手が考えられます。

・社員教育をしてできる仕事の種類を増やす
・その仕事をシステム化する
・その仕事を外部委託する

 

このように、「問題点-原因-打ち手」のフレームで考えると議論がしやすくなり、関係者の納得も得やすくなります。

 

ところで、冒頭の「人が足りない」という話に戻りましょう。

上のフレームに当てはめてみると、人が足りないというのは「原因」であって「問題点」ではないことがわかっていただけると思います。

人が足りないことが原因で発生している、次のような問題点があるはずです。

・特定の部署に残業が多い
・特定の製品に納期遅延が多く発生している
・特定の部門の受注に生産が追いつかない

そして、改めてその問題点について、本当に人が足りないことが原因なのか、と考えてみます。

その結果、人が足りないことよりも、次のようなことが原因だったということもあるでしょう。

・そもそも業務プロセスに無駄が多い
・会社全体の人員配置に片寄りがある
・生産プロセスの一部に非効率なものがある

 

いかがでしょうか?

「問題点-原因-打ち手」のフレームは、非常に強力であらゆる場面で使えます。

ぜひ活用してください!
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